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支援の質を上げるためのツール活用——港区児童相談所の現場から見たAiCANの本質的な価値【後編】

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業務効率化ツールとしてのAiCANの導入効果を紹介した前編に続き、後編では港区児童相談所が見据える「支援の質の向上」に焦点を当てます。

記録時間が短縮された先に何があるのか。「職員が楽になった」だけで終わらせず、生まれた余白や余裕をどう支援に還元していくのか。AiCANのインターフェースに込められた子どもへのまなざしや、AIを活用した今後のビジョンまで、佐藤係長と山本氏に伺いました。

子どもの顔アイコンや誕生日通知——インターフェイスに滲み出る「人へのリスペクト」

AiCANの機能の中で、特に印象に残っているものはありますか?

佐藤係長:子どもの顔のイラストをアイコンとして設定できる機能には衝撃を受けました。自分の担当の子どもに似た顔を選んでアイコンにするということ自体が、一人ひとりの子どもを大事にしているということの現れだと思うんです。業務上はなくても困らない機能だと思うのですが、でも児童相談所の仕事では、大事なことだなと思います。自分の担当のケースにちゃんとアイコンをつけている職員を見ると、それぐらい思い入れを持って仕事をしているんだなと感じます。

山本:結構使っている職員はいますよね。かわいいんですよ、あのアイコン。

佐藤係長:誕生日の通知機能もいいですよね。AiCANに担当の子どもと保護者の誕生日を入力しておくと、当日に表示されるんです。その表示を見て、電話をかけるときに「昨日はケーキ食べたんですか」というような会話ができる。それだけで保護者は尊重されていると感じるし、子どもにも喜んでもらえるんじゃないかと。

これもなくても困らない機能だと思うんです。でも、あったら喜んでもらえる。そういう小さなことを大切にしている作り手の温かみが、システムに滲み出ているなと感じるんです。

児童相談所では、虐待であれ不登校であれ非行であれ、家族がうまくいっていない状態に向き合う必要があります。そのときに、子どもや保護者が「見張られている人」になってはいけないし、その人の営みや人生へのリスペクトを忘れちゃいけないんです。だから、記念日に一言でも声をかける、そうしたちょっとした関わりが本当に大事で、そういった価値観をAiCANはわかってくれているなと思っています。冷たい管理的なシステムとは違う、「子どものために」という思いがにじみ出ているんですよね。

単に楽になるだけでは意味がない——効率化の先にある支援の質の向上

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AiCANを導入して、支援の質という観点での変化を感じていますか?

佐藤係長:職員の働きやすさの向上や業務負担の軽減、バーンアウト防止といった視点はもちろん重要ですが、それだけではダメだよなというのは、ずっと言ってきたんです。

本当に大事なのは、これまで記録作成に取られていた時間を、本来やりたかった支援に充てられるということ。業務効率化によって生まれる余白や余裕こそが重要なんです。「今日はまだ時間があるからもう1件訪問に行ってみよう」というような形で、実際に訪問に割く時間は増えています。また、必要なタイミングで面接を入れたり、SVに相談したりする時間も確保しやすくなりました。

「定時に帰れる人を増やすこと」が目標なのではなくて、現場の支援者が「子どもの支援にもっと手数をかけたい」、「保護者の話をちゃんと聞く時間を確保したい」と思っていたことを実現しやすい環境を作ることが重要だと思っています。

山本:面接中に所内にいるSVからチャットで指示が飛んでくるのは便利だと現場からも聞いています。面接中に必要なことをその場でさりげなく伝えられるのは、人材育成という観点でも重要だなと思っています。

AIによる情報整理と見立ての支援——虐待対応だけに留まらない可能性

AiCANとの関係性について、どう感じていますか?

佐藤係長:初期の頃から問い合わせへの迅速な対応もそうですし、交換会や勉強会の場を提供してくれるなど、いわゆるシステム保守の枠を超えた関わり方をしてくれるなと感じています。

システム開発を担当する企業とは「正しく動いているかどうか確認する」、「法改正に対応してアップデートする」といったやりとりをすることが多いのですが、それだけだと、こちらの要望がなかなか通らないなと感じることもあります。

でもAiCANさんは、頻繁に話してくださるし、ちょっとしたことにもすぐ対応してくれる。一緒に作り上げてきたという感覚があるんです。社員の中に児童相談所の経験がある方もいたり、現場経験がなくても福祉の考え方や価値観を理解している方がいて、こちらが現場の話をいろいろ言っても一生懸命受け止めてくれる。打ち合わせにも、正直楽しいなと思って参加しています。

今後、AiCANに期待することを教えてください。

佐藤係長:AiCANの中に積み上がった膨大な経過記録のテキストデータをもとに、見立てやアイデア出しができるようになったら、すごく有効だと思います。もちろんAIがどれだけすごくなっても、最終的な判断は人間がするものですが、経験の浅い若手にとって、何の情報が大事かという整理や、情報同士の関連づけを補助してくれるものがあれば、自ら気づきを得るトレーニングにもなるのではないかと思っています。

山本:現状は福祉係の業務での活用していますが、保護係も心理係など、他部署でもAiCANが使えるようになっていくと、連携がもっと取りやすくなるのではと思っています。

佐藤係長:例えば、一時保護所での子どもの様子について、福祉司や心理司もすごく知りたいはずなんです。今はまだ、一時保護所との連携というところまでは活用ができていません。

情報共有がさらに進んでいけば、今まで気づける人だけが気づいていたことに、不慣れな職員も「なるほど、こういう視点があるのか」と気づけるようになる。心理司が見立てている愛着の課題と保護所での行動が結びつくとか、総合的な見立てに役立つようになると、子どもの支援にとってもすごく有効だと思います。散らばっている情報を俯瞰して整理して、仮説を立てて修正していく。それがまさにソーシャルワーク、ケースワークの本質ですから。

佐藤係長と山本氏へのインタビューを通じて、AiCANが業務効率化にとどまらず、日々の支援の質や人材育成にまで変化をもたらしつつあることが伝わってきました。「一緒に育てていく」――その言葉に象徴される現場とAiCANの関係性は、これからも続いていきます。

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