元児童相談所職員としての知見をどう活かすか。AIに向き合う私たちが大切にしていること【CSチームリーダー×DS 社員インタビュー 後編】

児童相談所からAiCANへと活躍のフィールドを移した、太田さんと佐名さんのインタビュー後編です。前職の経験を活かした仕事の進め方や日々のやりがい、そしてこれから目指していきたい今後の展望についてお話を伺いました。(インタビュー:経営推進部 上野・北御門・佐々木 文:北御門・佐々木)
※本記事は、採用サイトからの転載記事です。

太田 茜 / Akane Ohta【写真右】
営業CS部カスタマーサクセス担当 CSチームリーダー
社会福祉士。大学卒業後、横浜市役所に入庁。児童相談所にて、初動対応(相談受付・インテーク)からキャリアをスタートさせ、その後、司法面接(Forensic Interview)の実践や後方支援業務、職員研修の企画調整に従事。産休・育休を経て児童福祉司として復帰後、2024年4月にAiCANへ入社。
現在は現場経験を活かし、アプリの導入・活用支援を行うとともに、現場の声をUX(ユーザー体験)向上につなげるべく、開発チームと連携している。
特段の趣味は持たず、休日は心身を休め、翌週のパフォーマンスに備えるスタイル。

佐名 隆徳 / Takanori Same【写真左】
R&D部開発チーム データサイエンティスト
高校を二度中退後、大検を経て千葉県庁に心理職として採用。児童相談所で児童心理司・児童福祉司として10年以上にわたる勤務と、筑波大学大学院での「児童福祉司のバーンアウト」「心理的虐待の再発」に関する研究論文執筆を両立。2025年2月にAiCANへ入社し、現在はデータサイエンティスト(DS)としてプロダクト・AI開発を行っている。NPO法人理事としての児童養護施設等の現場支援も継続中。
趣味は、道の駅や公園に行くこと。

▼前編はこちら!

児童相談所での勤務経験がユーザー体験の基点に

児童相談所からAiCANにフィールドを変えたことで、子どもの安全の守り方はどのように変化しましたか?

佐名:
目の前の子どもと直接向き合う形から、プロダクトを通じて支える形へと変わりました。今は、児童福祉司の方が抱える苦しみや、その先にいる子どもやご家庭の困難を想像しながら、それを取り除くための仕組みを作っています。直接介入することはなくなりましたが、仲間と一緒に、より広い範囲のご家庭を支えられるようになったと感じています。

太田:
私も同じく、一対一の直接支援ではなく、より多くのご家庭を広く間接的に支援している感覚があります。現場で「これが必要だ」と思っている方々と、それを届けたい私たちがマッチングして、AiCANで業務効率化された分、できなかった支援ができるようになり、それが少しずつ行き渡っていくようなイメージです。自分が現場にいたからこそ、AiCANを使っている職員の方々のすぐ先に子どもたちがいるということが、あえて意識せずとも自分の中に当たり前に存在している感覚があります。

児童相談所での勤務経験や、そこでの業務フローへの理解は、現在の業務にどのように活かされていますか?

太田: 
児相での勤務経験があることで、自治体の職員の皆様に親近感を持ってもらえることや、業務の詳細をスムーズにキャッチアップできることは、大きな利点だと感じています。 ベースライン調査(※1)などで、私が児童福祉司として働いていた時の苦労話を共有すると、職員の方も心を開いてくださって、一歩先のオフレコの話を聞かせていただけることもあります。
そうした現場の本音に触れられるのは、勤務経験があるからこそだと感じています。

佐名: 
そうですね、「(現場では)こんな機能がほしいな」という感覚が分かっていますからね。それをそのままプロダクトに反映できるというのは、一つの強みなのではないかと思っています。

太田:
たしかに。私は一つのケースワークを深く掘り下げるというよりは、国に提出する統計の取りまとめをしたり、司法面接の面接者を務めたり、研修の企画を担当したりと、どちらかといえば幅広く色々な仕事に関わってきました。
今振り返ってみると、どの仕事の経験も今の業務に生きているなという実感があります。


※1  実証実験やサービス利用開始前に実施する、業務環境や業務フローを把握する調査を指す

お客様と共にAiCANをつくる

現在の仕事のやりがいはなんですか?

佐名:
太田さんとアプリの改修案をブラッシュアップしていく過程には、本当にやりがいを感じています。大切にしているポイントが異なることもありますが、その『違い』があるからこそ良いものが生まれるのだと思います。お互い、アプリの先にいる人のことを第一に考えているのが分かっていますし、こうした議論ができるのはAiCANならではですね。

最近感じた違いは、設計における価値観の違いです。私は現場で業務に忙殺されてしんどかった経験をしたので、とにかく最短で簡単に記録を終わらせられる設計を追求したい。一方で太田さんは、デジタルに不慣れな層でも直感的に使いこなせる、アプリの利用に一歩踏み出せるような手厚い設計も大切にしたい。そんなふうに視点が分かれることもありますが、どちらかが間違っているとは全く思っていません。お互いの価値観を尊重しながら着地点を探っています。

太田:
私はお客様から「このアプリは手放せない」「早く退勤できるようになった」といった声を直接聞くと、やはりモチベーションが上がる実感があります。今の現場の方々が、かつての自分と同じように、事務作業に追われていた焦燥感や疲労感から少しでも解放されたと聞くと、当時の自分を救っているような感覚になるんです。経験を活かしたキャリアを選んで本当によかった、と心から思います。

もちろん、現状への評価だけでなく、もっとこうしてほしいというご指摘をいただくことも多いですが、どの方向性であっても『使っているからこそ出てくる意見』はすべて大事にしたいと思っています。

AiCANはお客様と一緒に育てていくアプリだと思っているので、常々「一緒に育てるつもりで、どんどん意見をください」とお伝えしているんです。そこに応えていくことが、今の私の大きなやりがいです。

(2025年11月に開催された日本子ども虐待防止学会/JaSPCANに参加。会場前にて社員同士で撮影。)

データやAIの活用を進める中で、自治体(お客様)が抱いていらっしゃる懸念点に対し、お二人が大切にしている考え方や実践している具体的な解決のためのアクションなどがあれば教えてください

太田:
以前AiCANアプリに、AIによる要約機能が実装された際、お客様から「担当者以外でも要約できるようにしてほしい」というご要望をいただいたんです。
ただ、AiCANとしては、ケースの背景を十分に把握していない人がAIの要約だけを見て、それをケースの全てだと誤認して対応してしまうことの危険性を重く受け止めています。ここは倫理の側面から、とても大事にしている部分なんです。

一方で、現場の方々がそうおっしゃる理由も、自分が現場にいたからこそ痛いほどわかります。ですから、お客様のご要望を尊重しつつ、こちらの意図をどう説明してご理解いただくか、あるいはどこで折り合いがつけられるのか等、バランスを考える場面では、最善の判断ができるよう思考を尽くすようにしています。

開発側の意図と現場の思い、その双方の視点に立って調整していくことが大切だと思っています。

佐名:
私は、現場がAIを導入する際に抵抗感があるのは当然のことだと思っていて、その懸念をどう解消するか、自分なりの考えを持つようにしています。人がAIに抵抗を感じる理由は、研究によるとAIリテラシーやAI機能への不信感などが指摘されています(※2)。リテラシーを急に高めるのは難しいですが、機能への不信感については、実際に使ってみて「これなら使える!」と実感できれば解消できるはずです。

ですから、現場の懸念がどこにあるのかをエビデンスに基づいて具体的に理解し、そこへ対策を打つイメージを持っています。AIの設計においても、不信感が払拭されるよう、効果が見えやすい設計を心がけています。


※2  【参考文献】Acosta-Enriquez, B. G., Farroñan, E. V. R., Zapata, L. I. V., Garcia, F. S. M., Rabanal-León, H. C., Angaspilco, J. E. M., & Bocanegra, J. C. S. (2024). Acceptance of artificial intelligence in university contexts: A conceptual analysis based on UTAUT2 theory. Heliyon, 10(19).https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e38315

Choung, H., David, P., & Ross, A. (2023). Trust in AI and its role in the acceptance of AI technologies. International Journal of Human–Computer Interaction, 39(9), 1727-1739.https://doi.org/10.1080/10447318.2022.2050543

Scharowski, N., Perrig, S. A., Aeschbach, L. F., von Felten, N., Opwis, K., Wintersberger, P., & Brühlmann, F. (2024). To trust or distrust trust measures: Validating questionnaires for trust in AI. arXiv preprint arXiv:2403.00582.https://doi.org/10.48550/arXiv.2403.00582

Wang, B., Rau, P. L. P., & Yuan, T. (2023). Measuring user competence in using artificial intelligence: validity and reliability of artificial intelligence literacy scale. Behaviour & information technology, 42(9), 1324-1337.https://doi.org/10.1080/0144929X.2022.2072768

今後の展望

今後どのようなところに注力したいと考えていますか?

佐名:
私は、現場にある苦悩や課題(ペイン)を取り除く手段として、現在はアプリのユーザビリティの向上、つまりアプリの使いやすさに最も注力しています。そしてAIの開発・活用についてもさらに深く踏み込んでいきたいと考えています。

太田:
私は二つの軸で考えています。一つは、現場でDXを推進されている方々とのコミュニケーションです。DXは現場の皆さんの納得感があって初めて進むものだと考えているので、引き続き対話を大切にしながら進めていきたいです。もう一つは、AiCANを導入されている自治体様同士のネットワーク作りです。2025年夏にAiCANをよく使ってくださっているユーザーを集めた情報交換会を行いました。同じアプリの利用者という共通点をもとに、自治体の垣根を超えた横の繋がりを支援できるのも、AiCANならではの価値だと思っています。

(2025年8月に実施した情報交換会の様子)

AiCANで働くことに興味がある方へ

ありがとうございます。最後に、公務員や児童相談所での経験があり、今後どうキャリアを進めるべきか迷っている方に向けて、エールやメッセージ等お願いいたします!

佐名:
AiCANには、児相での経験年数に関わらず、現場での勤務経験がある方なら、必ずその学びを活かせる場所があるということを伝えたいです。一緒に世界の子どもを守っていきたい!以上です!

太田:
私はキャリアチェンジをして何の後悔もしていません。なので、AiCANに興味がある人はぜひ飛び込んできてほしいなと思っています!

太田さん、佐名さん、ありがとうございました!今回のインタビューはここまでです。次回もお楽しみに!

現在、お二人が活躍するポジションを含め、複数の職種で積極採用中です。
あなたの専門性やこれまでの経験を活かしてAiCANで活躍してみませんか?応募の詳細は以下のリンクをご覧くださいませ!
https://www.wantedly.com/companies/company_4137770/projects

当社は、2026年3月2日・3日に開催された「Industry Co-Creation(ICC)サミット FUKUOKA 2026」に参加いたしました。

会期中、3月2日に行われたセッション「ネクストステージ・カタパルト グループA」において、当社は第3位に入賞いたしました。この結果を受け、翌3月3日に開催された、「カタパルト・グランプリ」への出場機会を得て、当社の事業内容および今後の展望について発表を行いました。

ICCサミットは、「ともに学び、ともに産業を創る。」というコンセプトのもと、毎回500名以上の登壇者と1,200名以上の参加者が集うカンファレンスです。参加者同士が対等な立場で互いに学び合い、新たな産業を創出することを目指す場であり、当日は朝から晩まで多角的なセッションや交流が行われました。

「カタパルト・グランプリ」への登壇、会期中に実施された各プログラムへの参加を通じ、多角的な視点から様々な知見を得る機会となりました。今回の登壇および参加を通じて得られた成果を活かし、さらなる事業の成長に努めてまいります。

以下の記事にて、登壇時の中継映像などが掲載されています。ぜひご覧ください。
【速報】グランプリ出場は「find」「FerroptoCure」「AiCAN」! ネクストステージ・カタパルト グループA 結果詳細(ICC FUKUOKA 2026) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

一般社団法人日本オムニチャネル協会が2月27日に開催した「オムニチャネルDay」において、第2回「DXイノベーション大賞」の発表が行われ、当社がベンチャー部門の最優秀賞を受賞しました。

DXイノベーション大賞とは、一般社団法人日本オムニチャネル協会が主催しており、DXによって「ビジネス共創」を目指す企業を表彰し、さらなるイノベーションへの挑戦を促進することを目的としています。
新規性、共創性、組織性、技術性、社会性の5つの審査基準に基づいて、受賞企業が決定されました。

今回の受賞を励みに、更なる児童福祉現場の課題へのソリューション提供に邁進してまいります。

以下の記事にて、表彰式の様子や代表コメント等が掲載されております。ぜひ併せてご覧ください。
日本オムニチャネル協会、第2回「DXイノベーション大賞」発表 事業会社「最優秀賞」は農業DXの『AGLIST』、AI賞もダブル受賞(日本ネット経済新聞) – Yahoo!ニュース

2026年1月26日(月)、自治体職員様向けウェビナー「こども家庭センターDXの最前線〜より良い支援に繋げるための導入ステップと活用事例〜」を開催しました。

本ウェビナーでは、こども家庭センターにおける児童相談業務を取り巻く課題について整理した上で、現場のお悩みやそれに対するアプローチについて具体的な活用事例を交えながら詳しくご紹介いたしました。

当日は、全国から約40名の自治体関係者の皆さまにご参加いただきました。

参加者の皆さまからは、「直面する課題やシステム導入までの課題が整理できた」「システム導入で紙の記録を効果的に整理することができると分かった」「取り巻く環境や悩みについて、共感できる部分が多かった」といったお声が寄せられました。

今後も皆さまのお役に立てるようなイベントを定期的に開催してまいります。
本ウェビナーはアーカイブ配信はしておりませんが、自治体職員様に限り、当社の営業担当からオンラインにて内容を説明させていただきます。

ご興味のある方は、以下フォームよりお問合せをお願いいたします。
https://www.aican-inc.com/contact/

2026年1月19日、デジタル行財政改革会議事務局および一般社団法人GovTech協会が共催する「車座対話」が川崎市にて開催され、当社代表・髙岡が参加いたしました。

本対話は、人口減少社会における行政サービスの高度化、官民共創の進化、そしてデジタル実装をいかに社会基盤として定着させるかをテーマに、政策担当者と民間事業者が率直に議論する場として開催されました。

当社は、児童相談業務という高度専門領域における現場実装の知見を有するGovTech企業として、

  ・業務効率化に留まらず、こどもの安全に資するドメイン知識と科学的知見を参照した伴走サポートの重要性
  ・属人化を防ぎ、人材育成と標準化を両立する仕組みとBPR

について意見を共有しました。

デジタル改革は制度設計だけでは完結せず、現場実装まで到達して初めて社会的インパクトを生みます。
政策と現場をつなぐ”実装側”の立場から、持続可能な行政プラットフォームの構築に貢献してまいります。

当日の詳細はGovTech協会のレポートをご覧ください。
▶︎官民共創の新たなステージへ|人口減少社会を救う”全員野球”のデジタル改革とは?

児童相談所からAiCANへと活躍のフィールドを移した、太田さんと佐名さんにお話を伺いました。 二人が転職を決めた背景から、入社以来どのようなステップを経て現在の裁量ある役割を担うに至ったのか、これまでの着実な歩みとキャリアの変遷についてお話しいただいています。(インタビュー:経営推進部 上野・北御門・佐々木 文:北御門・佐々木)
※本記事は、採用サイトからの転載記事です。

太田 茜 / Akane Ohta【写真右】
営業CS部カスタマーサクセス担当 CSチームリーダー
社会福祉士。大学卒業後、横浜市役所に入庁。児童相談所にて、初動対応(相談受付・インテーク)からキャリアをスタートさせ、その後、司法面接(Forensic Interview)の実践や後方支援業務、職員研修の企画調整に従事。産休・育休を経て児童福祉司として復帰後、2024年4月にAiCANへ入社。
現在は現場経験を活かし、アプリの導入・活用支援を行うとともに、現場の声をUX(ユーザー体験)向上につなげるべく、開発チームと連携している。
特段の趣味は持たず、休日は心身を休め、翌週のパフォーマンスに備えるスタイル。

佐名 隆徳 / Takanori Same【写真左】
R&D部開発チーム データサイエンティスト
高校を二度中退後、大検を経て千葉県庁に心理職として採用。児童相談所で児童心理司・児童福祉司として10年以上にわたる勤務と、筑波大学大学院での「児童福祉司のバーンアウト」「心理的虐待の再発」に関する研究論文執筆を両立。2025年2月にAiCANへ入社し、現在はデータサイエンティスト(DS)としてプロダクト・AI開発を行っている。NPO法人理事としての児童養護施設等の現場支援も継続中。
趣味は、道の駅や公園に行くこと。

現在の業務

現在の業務内容について教えてください

佐名:
もともとは職場のデータ分析などから入っていったのですが、自分の中にAIの設計思想やデータ設計のアイデアがあって、それを会社に提案したんです。それをきっかけに、現在はAIの仕様や要件を作る担当になり、AiCANアプリ全体の仕様設計も少しずつ作成しているところです。
AiCANがどのような根拠や背景を持って、誰に刺さるような機能が必要なのか。それを踏まえて「だからこういう仕様にします」という設計図を描いている人、というイメージを持ってもらえるとありがたいです。
AIについては、実際のケースワークにおける調査や判断をサポートするAI、要約など業務効率を高めるAIをより拡張していこうと考えています。それ以外にもいくつかあって、現場の知見はもちろん、研究に基づいた視点も大事にしています。例えばアプリの仕様を考える際も、児童福祉司のバーンアウトや離職に関する研究結果などを背景に持った上で、設計を行っています。その際、意識しているのは、自分の10年以上の児童相談所(以下、児相と表記)での勤務経験だけでなく、学術的なエビデンスをしっかりと反映させることです。 

太田:
私は現在、メインの業務として複数の自治体のカスタマーサクセス(以下、CSと表記)を担当し、活用支援などを行っています。
それ以外にも、R&D(研究開発)部がAiCANシステムの仕様を考える際に、現場の人が使いやすいUI/UXになっているかどうか、スポットで答えたりもしています。
入社してからこれまでの中で、システムの仕様に深く関わったのは、一時保護の司法審査関連の機能(※1)と、住基連携機能(※2)です。特に住基連携の仕様策定では、住基連携しているシステムで実際に児童相談業務をしたことがある人が、社内で私しかいなかったんですね。ですので、開発メンバーが決めきれない細かい仕様について、相談を受ける場面が結構ありました。
以前、児相職員として働いていた時に別のシステムを使っていたことがあるので、当時の動きを振り返りつつ、AiCANの機能が現場でスムーズに使えるものになっているかを確認しています。現場の視点から、アプリのこの機能が本当に必要なのか、あるいは逆にこれは使いにくいんじゃないかといったことを判断したり、現行のシステムで改善したい点などを整理したりしています。自治体のお客様からいただいたご意見を開発チームに伝えていくのも、私の役割の一つです。

AiCAN画面イメージ

入社当初は、どのような業務を担当されていましたか?その後、どのタイミングで、どんな業務を任されるようになりましたか?各部署との連携についても教えてください

佐名:
入社当初はデータ分析がメインでしたが、そこから徐々に業務の幅が広がっていきました。というのも、児相の現場を知っていて、分析ができ、かつエビデンスに基づいたロジックを組める人材が珍しかったようで、多方面から声をかけていただけるようになったんです。
そうしたプロセスを経て、最終的には会社が私の強みをしっかりと見極め、それを最も活かせる現在の業務に着地させてくれたと感じています。

太田:
私は当初、自治体対応がメインでしたが、入社して1年半が経った頃にCSのリーダーに就任しました。さらに現在はその枠を飛び越えて、現場の知見をプロダクトや組織全体に還元するドメインエキスパートのような役割を担うことが増えていると思います。 佐名さんと一緒に、社内でAiCANアプリを使ったロールプレイや勉強会を主催し、会社全体のドメイン知識を深める活動も行っています。

佐名: 
太田さんは本当に、社内のSlackのどのチャンネルを見ても名前があるくらい、多方面で活躍していますよね。 私たち開発側(R&D)にとって、太田さんのように現場に深く食い込んで動いているCSが、お客様から忖度のない本音のフィードバックを拾ってきてくれるのは本当にありがたいなと思っています。

太田: 
開発チームとは単に意見を伝えるだけでなく、お互いに「お客様を深く理解しよう」という共通の姿勢を持てているなと日々実感しています。

(2025年7月に社内で実施したAiCANロールプレイ会の様子)

※1  2022年(令和4年)の児童福祉法改正により、児童相談所長等が一時保護を行う際、親権者の同意がある場合などを除き、裁判官に一時保護状を請求しなければならない「一時保護時の司法審査」が創設された。(出典:一時保護時の司法審査に関する実務者作業チーム|こども家庭庁
※2  住基連携機能とは、母子保健や福祉、子育て支援などの行政業務において、住民基本台帳に登録されている氏名・住所・世帯構成などの基本情報を業務システムから参照・連携し、対象者や世帯を正確に把握しながら、記録作成や支援業務を行うための機能。

児童相談所で感じていたやりがい/苦労

児相で働いていた時に感じたやりがいはなんですか?

太田:
子どもやご家庭と一緒に解決策を考え前進していく中で、良い方向に向かっているね、落ち着いたねと振り返る瞬間が何度かあり、良い経験だったなと感じます。
特に印象に残っているのは、その子どもやご家庭にとって一番余裕がなかった時期を担当したケースです。私が担当した後、私の手を離れて別の担当者に引き継がれていったのですが、全ての支援が終結するタイミングで、そのご家庭がわざわざ私を訪ねてきてくださったんです。そして「一番大変だったときの担当はあなただった。あなたがいたから今がある。今日で児童相談所の関わりが最後だから、やっぱりあなたの顔を見てから帰らないと」と声をかけてもらった時、喜びを感じました。
一方で、全てのケースで支援に必要な時間が十分にとれたわけではないのが、苦しかったところです。ケース記録の作成に追われて時間がかかっていたことなど、まさにAiCANアプリを導入する前の(Before)の状態だったな、と思っています。

佐名:
支援方針をご家庭とともに考えた結果、結果的に良い方向へいったケースというのは意外と多くあって、それはやっていて大きな喜びでしたね。
様々なケースに対応しましたが、本当に重い症状を抱えた子が沢山いました。養育する方は、なぜこのような状態になるのかも、どうしたらいいのかもわからなくて悩んでいます。子どもも苦しんでいるし、育てている人も苦しんでいる。そこに伴走支援していくわけです。なかでも、里親の方や施設の方と一緒にその子をケアしていくということを私はとても大事にしていました。
私は児童心理司としての経験が長かったので、なぜこのような状態になっているのかを、1人1人について長い時間をかけて勉強し、科学的なエビデンスを背景にして子どもや養育者に説明していきました。そのおかげなのか、施設職員さんや里親支援をされている方々、例えば里親会(※3)の支援員さんなどとも今でも交流が続いています。


※3  里親会とは、里親家庭が孤立しないよう、先輩里親への相談や里親同士の悩み共有ができる「横のつながり」の場。行政(児童相談所)とは異なり、同じ立場の仲間として、子育ての悩みから制度の不明点まで、気軽な情報交換が行われている。(出典:千葉県里親会とは | 千葉県里親会

転職の経緯

転職したきっかけやAiCANを転職先に選んだ理由を教えてください

佐名:
AiCANの存在は以前から知っていました。髙岡さん(当社の代表取締役)は、この業界ではとても有名な方でしたから。一度、同僚を連れて産総研(※4)の見学に行かせていただいたことがあったんです。当時、産総研に在籍していた髙岡さんと面識ができて以来、SNSでお互いにいいねをし合ったり、日本子ども虐待防止学会への入会を推薦していただいたりと、色々な形でご縁が続いていました。

太田:
私は大学を卒業して横浜市役所に入って、そこからはずっと児相の職員をしていました。その後、産休から復帰して児童福祉司をやりましたが、子どもを出産すると24時間自分のことに使える時間があるわけではないため、以前のような働き方はできなくて、どうにもこうにも上手くいかなかったんです。
具体的には、限られた時間の中で支援が中途半端になったり、事務作業が回らなかったり。それで「これではもう仕事を続けられないな」と思いました。1年耐えて別の職場へ異動を希望することも考えましたが、役所でのキャリアに区切りをつけようと考えました。だから今までの経験やキャリアに縛られずにキャリアチェンジしようとも思っていたんです。
そんな時、ふと以前から知っていた髙岡さんのことを思い出しました。私は司法面接の面接者やバックスタッフの業務もしていたのですが、以前受講した面接者になるための研修の講師が髙岡さんだったんです。それでふと「髙岡さん、今何しているのかな?」と思い調べたら、会社を経営していることを知ったんです。現場の人を支える仕事、これまでの経験を活かしてかつての仲間たちを支えたいという野望を持って入社しました。

佐名:
うわ、そういうこと言えばよかった…

(一同笑い)

佐名:
追加してもいいですか?そもそも、もともとは児相を辞める気なんて全くなくて。転職が視野に入ってきた時期は、考えすぎてしまってメンタルを崩しかけたこともありました。
現場で目の前のケースに一つひとつ向き合っていくことも、もちろん大事なことですし、自分もそのつもりでやってきました。でも、AiCANが実践しようとしているのは、世界的に解決できていない課題を広く解決していくことだなと捉えたときに、ここなら自分の経験を活かして手助けができるかもしれない、と思ったんです。

お二人ともAiCANが会社として大きくなるだろうという想定をして入社されたのですか?

佐名:いや全然(笑)良いサービスを作り続け、それでデカくするぞくらいの気合いで。

太田:私も、あまりないかも。小さくても、どこか一つの児相の職員の方々が働きやすくなって、その職員の方が支援している子どもたちに何か良い影響があったらいいなぐらいの感じでした。正直会社を大きくするぞ!という野望はなかったかな。AiCANのビジョンや取り組みに共感して入社したという感じです!


※4  国立研究開発法人産業技術総合研究所の略。経済および社会の発展に資する科学技術の研究開発などを総合的に行う日本最大級の公的研究機関である。(出典:産総研:産総研について

ありがとうございました!前編はここまでです。 後編では、児相でのキャリアをどのように現在の業務へ活かしているのか。また、AIの利活用において心掛けていることや今後の展望などについても伺っています。ぜひご覧ください!

現在、お二人が活躍するポジションを含め、複数の職種で積極採用中です。
あなたの専門性やこれまでの経験を活かしてAiCANで活躍してみませんか?応募の詳細は以下のリンクをご覧くださいませ!
https://www.wantedly.com/companies/company_4137770/projects

当社はこの度、東京都が実施する、第1期 「Tokyo Startup Talent」個別支援プログラムにおける支援対象企業に採択されました。

「Tokyo Startup Talent」は、スタートアップのさらなる成長を支援するため、採用や組織づくりなどの課題解決を後押しすることを目的とした事業です。当社は今後、講義やグループメンタリングなどの専門的な支援コンテンツを通じ、組織運営のノウハウを学んでまいります。

詳細につきましては、Tokyo Startup Talent 個別支援(第一期)採択社決定|2月|都庁総合ホームページをご覧ください。

本プログラムで得られる知見やネットワークを活用し、組織の基盤をより一層強化してまいります。

2026年2月24日(火)、自治体職員様向けウェビナー「児童福祉DX×生成AI 最前線セミナー 〜現場でのAI活用事例から学ぶ〜」を開催します。

概要

  • 日時:2月24日(火)13:30-14:30(13:15から接続テスト)
  • 形式:Zoom / 講演形式
  • 参加費:無料
  • 定員:50名
  • 主催会社:株式会社AiCAN

子どもの安全を守るために、支援体制の強化と増え続ける現場負担の軽減をどう両立させるか。
その鍵として、児童福祉分野でもDXやAIの活用が本格的に進み始めています。
一方で、「AIってセキュリティ的に大丈夫なの?」「AIは嘘をつくこともあるから不安・・・」などと感じている方も多いのではないでしょうか。

国は近年、児童相談・こども家庭支援分野におけるDX推進を重点施策として位置づけ、補助金制度の整備や、生成AIの導入・活用に関するハンドブックの公開など、現場での実践を後押ししています。

今回のウェビナーでは、実証実験で生成AIを活用した現場へのインタビュー・アンケートでの生のお声を踏まえて、児童福祉の現場で見られる課題とその背景、AI導入に向けて検討すべき観点を解説します。

生成AIをはじめとしたテクノロジーを、「人を支えるための仕組み」としてどう活かすか。児童福祉の現場での実践に繋がるヒントをお届けします。

(※本ウェビナーは、令和7年11月11日実施のウェビナー「児童福祉×生成AI 最前線セミナー〜安全性と効率化を両立するには?〜」をアップデートした内容となります。)

参加をご希望される場合、お申し込みはこちらのフォームよりお願いいたします。

2026年1月26日(月)、自治体職員様向けウェビナー「こども家庭センターDXの最前線〜より良い支援に繋げるための導入ステップと活用事例〜」を開催します。

概要

  • 日時:1月26日(月)13:30-14:30(13:15から接続テスト)
  • 形式:Zoom / 講演形式
  • 参加費:無料
  • 定員:50名(定員に達し次第締め切ります)
  • 主催:株式会社AiCAN

市区町村のこども家庭センターにおいて、限られた人員で多様化する支援ニーズにどう対応していくか。業務効率化や連携強化の手段として、ICTやAIの活用が注目され始めています。

しかし、「ICT導入は難しそう」「AIの判断をどこまで信頼してよいだろうか」といった不安から、なかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

国は近年、こども家庭センター・児童相談支援におけるDXを重点施策に位置づけ、補助金制度の拡充やAI活用ガイドラインの整備など、市区町村におけるICT・AIを活用した業務効率化を後押しする動きが加速しています。

本ウェビナーでは、市町が直面する課題の整理から始め、業務効率化・連携改善に向け、株式会社AiCANがご支援をした自治体様のDX事例をご紹介します。ICTやAIを “現場の負担を減らし、より良い支援につなげるための仕組み” としてどう活かすか。市区町村のこども家庭センターでの実践を後押しするヒントをお届けします。

参加をご希望される場合、お申し込みはこちらのフォームよりお願いいたします。1

  1. なお、本ウェビナーの対象は自治体職員の皆さま限定としております。
    ご入力いただいた情報に基づき、所属先の確認をお願いする場合がございます。何卒ご理解のほどお願いいたします。 ↩︎

2025年9月19日(金)〜21日(日)に開催された日本コミュニティ心理学会・第28回大会において、当社の髙木がポスター発表部門の優秀発表賞を受賞いたしました。

▼日本コミュニティ心理学会公式サイト お知らせ(2025/11/10)
第28回大会 (2025年度) 優秀発表賞<ポスター発表部門> – 日本コミュニティ心理学会

受賞者:髙木 伸也(株式会社AiCAN・営業CS部カスタマーサクセス担当)

日本コミュニティ心理学会は、心理学・社会学・社会福祉学・地域精神医学・公衆衛生学・看護学・教育学などの研究者や実践活動家で構成されている学会です。

引用:日本コミュニティ心理学会 | Japanese Society of Community Psychology
URL:http://jscp1998.jp/ (最終閲覧日: 2025年11月28日)