江戸川区様

AiCANロスが生まれたー現場職員が語るAiCAN導入のリアル【後編】

前編では、江戸川区児童相談所でAiCANサービス導入を企画・推進した職員の皆さんの声から、導入背景や合意形成のプロセスをご紹介しました。後編では、実際に子どもや保護者に対応する現場の職員(ケースワーカー)お二人に、AiCANサービスの第一印象や実際に使ってどのように業務が変化したのかについて語っていただきました。

「ある」のと「ない」ので全然違う

━━ 今日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。まずは実証実験を終えての率直な印象を教えてください。AiCANを4か月ほど使ってみて、今どんな気持ちですか?

ケースワーカーA:シンプルに「AiCANがあるとないでは全然違う」と思っています。実証実験が終わって、今はもう手元にないのが残念です。

━━ どんな場面でAiCANを使ったときに違いを感じましたか?

ケースワーカーA:主に、2つの場面での使い方が有効だなと感じました。

1つめは初期対応です。学校などで子どもと面接をして、職権保護が必要かどうか判断するケースがあるんですが、AiCANを使っているときは、その場で記録を打ち込み、チャット機能などで所の上司や他の担当に共有していました。

電話だと口頭で必死に説明しても、微妙なニュアンスが伝わらないことも多いんです。でも、チャットを使ってテキストで共有できると、判断材料が一気に増えるんです。これが現場としてはとても助かりました。

2つめは記録作業です。タブレットを使って外出先で記録作業を完了できるので、所に戻ってPC入力をする手間がぐっと減ったんです。また、記録内容を所内ですぐに共有できるのも助かりました。記録が終わって保存すると通知が飛ぶので、上司に進捗を把握してもらいやすくなったように感じました。職員が使うのに慣れていくと、「AiCANで送っておいて」とよく言われるようになりました。

ケースワーカーB:写真を共有できる機能もとてもよかったです。

「児童にあざがある」と学校から連絡を受けて訪問したことがあったんですが、現場でタブレットを使って写真を撮り、そのままAiCAN上で上司に送り、その場で指示を受けることができました。文章だと、どの程度のあざなのか伝えづらいのですが、画像なら一目瞭然です。対応方針について、上司にすぐ判断してもらえるので、事務所に戻らずに次の動きに移ることができました。早さが重要な初動時に、こうした対応ができるのはありがたかったです。

また、リアルタイムでチャットで指示を仰ぐことで、面談時の聞き取り漏れが減ったのもよかったです。その場で上司に相談できるので、現場ですぐに追加の質問ができました。これまでは一度職場に電話したり、戻って協議したりと時間がかかっていたので、AiCAN導入で段取りが一変しました。

タブレットだからこそできることがたくさんある

━━ 記録業務に関して、タブレットと紙を比べてみて、どのように感じていますか?

ケースワーカーA:私は紙に書く習慣がずっとあったので、最初は違和感がありました。でも使ってみると、出先でどんどん打ち込めるのが本当に便利でした。施設訪問で子どもに会いに行ったりすると、30分くらい待ち時間が発生したりするんです。その間に記録を片づけたり、面接が終わった後にすぐまとめたりできるので、作業時間が削減できました。

ノートパソコンを持ち歩くよりも、断然作業がやりやすかったです。学校や出先で、長時間作業するのにノートパソコンを開いてカタカタ打つのは目立ちますが、タブレットだと違和感なく作業ができました。

保護者の方からは「役所でも、そんな先進的なことをしてるんですね」と言われたことがあります。企業で働いているような方には、ノートを広げて書くより、タブレットで入力している方が自然に見えるようです。

ケースワーカーB:対面でノートに記録を取っていると、気をつけないと相手がこちらに目を向けたときに、記載している内容が見えてしまうんです。タブレットなら画面をすぐ閉じればいいので、対面の場でも気にせず使えるのがいいなと思いました。

━━ 4か月の実証期間の中で、最初は「紙がいい」と言っていた方が途中からAiCANに乗り換えたケースもあったと伺いました。なにが転機になったのでしょうか?

ケースワーカーB:最初は「新しいツールを今から覚えるのは面倒」という気持ちがあったと思います。実は、私自身も正直そう思っていました。でも、実際にAiCANを使ってみると、「紙に書く。その後でシステムに入力する」ということが二度手間だということに気づいて、「あれ? こっちのほうが早いじゃん」となりました。そこからは「AiCANを使いたい」と自然に思うようになりました。

ケースワーカーA:私は、噂で「業務がかなり楽になる」と聞いていて、「どんなシステムだろう?」と思っていました。実際に使ってみたら噂通りで、「これはいい」と思いました。ただ、年齢的にデジタル機器に馴染みのない職員もいたので、最初は使う人が限られていたように思います。便利だということが口コミで広まっていって、使う人がどんどん増えていった印象です。

AiCANロスと今後の期待

━━ 実証期間が終わった後、職員の皆さんから「続けられないの?」という声があったと聞きました。実際どのようなお声がありましたか?

ケースワーカーB:「AiCANロスです」という冗談交じりの声もありました(笑)。実際、AiCANを使うことに慣れてしまうと、もう紙やノートPCだけの業務には戻りたくないなとは思います。やはり現場で記録を完了できなくなるのは痛い。正式導入になると、本当に助かります。

━━ 改めて、正式な導入に向けた要望があれば、ぜひ教えてください

ケースワーカーA:実証実験中に使えていた機能はそのまま維持してほしいです。その上で、今後は一時保護などの説明資料をタブレットに入れて、保護者や子どもに見てもらうといった新しい使い方もできればいいなと思っています。

ケースワーカーB:私も全く同じで、実証実験中に使えていた機能が継続して使えるといいなと。あとは導入前に「どういうメリットがあるのか」を改めて丁寧に説明してもらえるとありがたいです。紙には紙の良さもあるので、そのあたりもクリアにできると、もっと導入がスムーズになるのではと思っています。

実際にAiCANを使った現場職員の声からは、紙ベースやPC入力では難しかった「即時共有」と「外出先での記録業務の完結」が、業務効率を大幅に向上させることがわかります。とりわけ緊急度の高いケースでは、写真やテキストチャットのリアルタイム共有が意思決定を加速し、子どもを守るための初期対応に活用されていることが印象的でした。

こうした事例は、児童相談所のDXを検討する自治体にとって大きなヒントになると思っています。現場の声を最初から丁寧に拾いながら、関係者の合意形成を進めて、一歩ずつDXを実現していく──AiCANは、これからもそうした取り組みを自治体と共に進めてまいります。

導入をご検討中の自治体様は、
「お問い合わせ・お見積もり」よりお問い合わせください。
AiCANに関する資料は
「資料ダウンロード」から無料でダウンロードできます。